2023/06/19

グラッサー博士の選択理論(1)外的コントロール

 


  • ウイリアム・グラッサー著

選択理論の基本の書。575ページというボリュームなのでなかなか細かい点まで熟読するには至っていないと自分でも感じている。そこで、これから1章ずつポイントを整理しながら読んでいきたいと考えている。




はじめに

本書は、人生の成功のためには良い人間関係がどんなに重要であるか、「夫婦」「親子」「教師と生徒」「マネージャーと従業員」の4つの関係について述べている。

 

第一部      理論編

第1      新しい生き方


『外的コントロール』

  • 選択理論では、みじめな感情も含め自分たちの行動のすべてを自ら選んでいると考えている。
  • 不幸のほとんどは幼少時代に種がまかれている。「私はあなたにとって何が正しいか知っている」という考えの人たちと出会うからである。この人たちは自分が正しいと信じていることを強制することこそ義務と考えている。この考えは私たちが求めている個人の自由を奪うものであり選択理論では外的コントロールと呼んでいる。

『情報』

  • 他人が私たちをみじめにしたり幸せにしたりするのではない。私たちが他人から得るもの、他人に与えるものはすべて情報である。
  • 情報はそれ自体で私たちに何かをさせることも、感じさせることもできない。


『権力』

  •   なぜ、これほどまでに外的コントロールは浸透しているのか。

    1. 権力を持つ人がこれを支持しているからである。あまりにも長い間使われてきたので常識となり、 他人が自分の思い通りにならないとき強制コントロールしか思いつかず何の考えもなしに使われている。
    2. 権力のない人は他の選択肢がないと信じていて、抵抗するともっと事態を悪化させると思っているからである。そしていつか、自分が権力をもって強制する立場になることを夢見ているのである。


『内的コントロール』

  • 過去百年の間に科学技術は大きく進歩し新しい理論を受け入れてきたが、人間関係を改善しようとする試みの中で理論が新しくなることはなかった。私たちは今までの心理学と別の心理学があることに気づく必要がある。
  • 私たちがどのように自分たちの進む道を選択するかを説明するのが選択理論であり、これを内的コントロール心理学と呼ぶ。従来の常識から脱却するものである。
  • 私たちは常識にとらわれ続けるため変化は容易ではない。もっと良い方法があるはずだと考えるまで時間がかかるが変化は可能である。
  • 変化の試みの中で「私のしようとすることは、この人と親しい関係になるか、離れることになるのか」私たちは絶えず自問自答する。基本的な質問をどのように使うか、使ったらどんなことが可能になるのか。それが本書で述べることの核心である。


『所有権』
  • 一緒に長くいればいるほど、より良い関係を保つのは困難に思えてくる。これは所有権の問題かもしれない。私たちが他人を所有していると信じる限り「してほしいことをしてくれなければ強制する」ことにためらいはない。
  • 私たちは親しい友人のことを「所有している」とは考えない。友人に「所有されている」とも思わない。このような良い友人に自分はどう対応しているか、所有していると信じている身近な人間への対応と比較してみることが選択理論を学ぶ良い方法なのかもしれない。

『外的コントロールの三つの信条』
  • 実際にほとんどの人が信じている外的コントロールとはどんなものなのだろうか。
第一の信条…私は外側から来る簡単なシグナルに反応して、電話が鳴ると受話器をとる。玄関のベルが鳴るとドアを開ける。赤信号で止まる。その他諸々のことを行う。 

第二の信条…私は、人がしたくないことでも、自分がさせたいと思うことをその人にさせることができる。そして他の人も、私が考え、行為し、感じることをコントロールできる。

第三の信条…私の言うとおりのことをしない人をばかにし、脅し、罰を与えることは、正しいことであり、私の道義的な責任である。

  • この三つの信条は常識のようになっていて、私たちは外側から動機づけられるというのが、これらの信条の基盤にある。しかしこれは間違っている。
  • 私たちはベルが鳴るから受話器をとるのではない。ベルは電話の向こう側の人が ここにいる誰かと話したがっていることを伝えている。これは情報であってコントロールではない。無視することも臨機応変に対応することもできる。
  • 私たちは機械のようにあらかじめ決められた反応をするように創られているのではない。言われたとおりのことをするのは情報に基づいてそれをする選択をしたからである。

『交渉』
  • 外的コントロールを基盤とした世の中であっても、コントロールをやめる選択ができれば不幸は減少する。
  • コントロールやめるだけではなく、やめる以上のこともできる。強制や復讐ではなく交渉することができる。
  • 子どもにこれ以上罰を与えるのをやめる理由を話すことができる。子どもとの関係が勉強よりも大切だということを伝えることができる。以前のように何か楽しいことをしたいと思っていると話すことができる。

『破壊的な生活』
  • 強制が長く続くと回復不可能になる地点があることを忘れてはならない。親しい関係が失われると人間関係をあきらめて快楽を求めて破壊的な生活に突き進む者もいる。
  • 快適な人間関係をもつことにトライしなくなっても良い気分を得ることはあきらめない。そして、飽食、アルコール、麻薬など他人を必要としない快楽を求めるようになる。自ら努力することがないので援助が困難になる。

『良い人間関係』
  • 幸せでいるためには他の幸せな人々と親しい関係になる必要がある。幸せな人々が少なければ、私たちが幸せになる可能性も低くなる。専門家以外でも選択理論を知っていて人間関係の技術を持っている人が関わっていくことが重要になる。
  • 快楽を追求する人々に欠けているものが人間関係であることを理解すれば、関係構築の機会を提供することができるはずである。私たちはお互いを必要としているのである。

◆以上、ここまで「グラッサー博士の選択理論」の第一章のまとめをしてきたが、最後は「私たちはお互いを必要としている」という一文だった。良い人間関係を維持するためには、人間関係を壊す習慣をやめて人間関係を築く習慣を身につける必要がある。私が受講したセミナーで井上千代先生は、いままでの習慣をやめようとしても我慢は長続きしないと仰っていた。我慢するとイライラして、この力を知らしめたいとDVや犯罪につながることもある。良い習慣、プラスで満たす工夫が必要になるわけである。最後に選択理論の七つの習慣を紹介して第一章の締めくくりとする。

※人間関係を壊す七つの致命的習慣とは
 批判する 
 責める 
 文句を言う
 ガミガミ言う
 脅す
 罰する
 褒美でつる

※人間関係を築く七つの習慣とは
 傾聴する
 支援する
 励ます
 尊敬する
 信頼する
 受容する
 交渉する


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