読解力がないと生きるのが大変になる、などと最近はしきりに言われている。SNS時代になって短文でのやりとりが増えた。読解力不足がトラブルに繋がっている。勉強の基本は読解力だ。良質なコミュニケーションに読解力は欠かせない。などなど。
「具体⇄抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問
(PHPビジネス新書)
細谷 功 著
抽象化と具体化という形で具体と抽象を行き来する思考法のこと。斬新な発想をできるようになるだけでなく、無用な軋轢やコミュニケーションギャップの解消にも役立つ内容。
著者は人間の知的能力を横軸(情報)、縦軸(抽象化)と捉えている。縦軸は抽象概念を操作することであり考えることである。ごく少数の言葉や図で森羅万象を説明することでもある。
なぜ今、この時代に抽象化が必要なのか。情報が増え続ける中で多くの人がコミュニケーションギャップ、不毛な議論に押し潰されているからである。
たしかに、話が具体的すぎるから、もしくは例え話がツボにはまらなかったから、私には当てはまらないと大事な話を聞き流してしまう状況はよく目にする。激しく議論している人たちが敵対しているかと思いきや、抽象度が違うだけで同じことを言っている場合も多い。ここで忘れてはいけないのは本書のタイトルは「具体⇄抽象」になっていることである。 どの程度一般化して抽象的に考えるか。問題を具体的に個別の問題としてどう解決していくか。具体と抽象を行ったり来たりすることである。この考え方は私達が思っている以上に大事なことなのだと認識させてくれる内容。少々難しいかもしれないが読解力をつけるためにも読み解いてみたいと思える1冊だった。
実際の生活に直結する要約する力を学ぶ機会が意外と少ないことを嘆いた福島大学の佐藤教授が作ったテキスト。
国語科教育に関する論文でも要約指導は桁外れに少ない。はっきり言ってしまえば、わかりやすく教える立場の教師の話さえも冗長で捉えにくいのが現実なのである。「はじめに」を読んだだけでも教授の熱い想いが伝わってくる。
本書は要約技術向上のテキストとしてロジックツリー(樹形図)を使っている。いま流行りの言葉で言うとロジカルシンキングということになるが、誰もが学んだ中学国語の段階でわかりやすく説明してあるのでおすすめの1冊。
樹形図にかんしてはAmazonのページの試し読みで見てみるのが一番早いと思う。
抽象と具体、全体と部分、結果と原因、主張と根拠のように文章を階層にわけて考えながら要点を掴んでいく。
要約の勉強のためにテキストをいろいろ探したが良いものが見つからず困っていたが、本書は非常にわかりやすい。
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