2023/05/21

本で学ぶ大人のための「読解力」3選


 読解力がないと生きるのが大変になる、などと最近はしきりに言われている。SNS時代になって短文でのやりとりが増えた。読解力不足がトラブルに繋がっている。勉強の基本は読解力だ。良質なコミュニケーションに読解力は欠かせない。などなど。

では、読解力とは一体何か。文章を読んで(話しを聞いて)著者(話者)の意図を理解することである。
ではどうしたら読解力を磨くことができるのか。

実際に役にたった3冊をご紹介する。

まず1冊目。

大人に必要な読解力が正しく身につく本
  (だいわ文庫 454-1-E)
  •    吉田裕子 著

そのものズバリの本。
まず、各項目ごとにコツの説明があり、次に簡単な問題、解答、説明となっている。
重要な部分にはあらかじめマーカーがついている親切設計になっているのでこの本だけは読み間違うことは絶対にないだろう。


まず読む力を鍛えるはじめの一歩として、要点把握。2つの文章のどちらが重要か見極める基本的なトレーニングを行い、次に接続語・指示語・助詞をマスターして文の流れをつかむ。

基本的なトレーニングができたら今度は箇条書きでリスト化する。構造化する。表にまとめる。面白いのは樹形図(ツリー図)にまとめる部分である。

第4章の「あおり部分を排除して冷静に読む」にはSNSなどでの炎上防止に役立つ実際的な内容が書かれている。この章は非常に面白い。本書では贅言消去と表現しているが挑発的したり侮辱してくる部分を排除して、事実と意見を区別する。議論の本質だけに注目していく方法である。この章だけでも一読に値すると思う。
最後は練習問題になっている。


次に2冊めは

「具体⇄抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29

(PHPビジネス新書)

細谷 功 著

 抽象化と具体化という形で具体と抽象を行き来する思考法のこと。斬新な発想をできるようになるだけでなく、無用な軋轢やコミュニケーションギャップの解消にも役立つ内容。


著者は人間の知的能力を横軸(情報)、縦軸(抽象化)と捉えている。縦軸は抽象概念を操作することであり考えることである。ごく少数の言葉や図で森羅万象を説明することでもある。

 

なぜ今、この時代に抽象化が必要なのか。情報が増え続ける中で多くの人がコミュニケーションギャップ、不毛な議論に押し潰されているからである。

たしかに、話が具体的すぎるから、もしくは例え話がツボにはまらなかったから、私には当てはまらないと大事な話を聞き流してしまう状況はよく目にする。激しく議論している人たちが敵対しているかと思いきや、抽象度が違うだけで同じことを言っている場合も多い。ここで忘れてはいけないのは本書のタイトルは「具体⇄抽象」になっていることである。 どの程度一般化して抽象的に考えるか。問題を具体的に個別の問題としてどう解決していくか。具体と抽象を行ったり来たりすることである。この考え方は私達が思っている以上に大事なことなのだと認識させてくれる内容。少々難しいかもしれないが読解力をつけるためにも読み解いてみたいと思える1冊だった。


最後3冊目は、


5分でできるロジカルシンキング
要約力アップの論理的思考トレーニング

佐藤 佐敏  著

実際の生活に直結する要約する力を学ぶ機会が意外と少ないことを嘆いた福島大学の佐藤教授が作ったテキスト。

 


国語科教育に関する論文でも要約指導は桁外れに少ない。はっきり言ってしまえば、わかりやすく教える立場の教師の話さえも冗長で捉えにくいのが現実なのである。「はじめに」を読んだだけでも教授の熱い想いが伝わってくる。

 

本書は要約技術向上のテキストとしてロジックツリー(樹形図)を使っている。いま流行りの言葉で言うとロジカルシンキングということになるが、誰もが学んだ中学国語の段階でわかりやすく説明してあるのでおすすめの1冊。

 

樹形図にかんしてはAmazonのページの試し読みで見てみるのが一番早いと思う。

抽象と具体、全体と部分、結果と原因、主張と根拠のように文章を階層にわけて考えながら要点を掴んでいく。

 

要約の勉強のためにテキストをいろいろ探したが良いものが見つからず困っていたが、本書は非常にわかりやすい。

単語レベルがら文レベル、最後は文章レベルで練習できる。文章も新聞記事のような難解なものではなく身近なものを利用している。コンサートのチケットをコンビニで購入する手順を説明する文章は面白かった。


以上3冊をご紹介した。それではやってみようと勉強を始めるのはなかなか難しいと思うが、まずは本を手にとってみるというスモールステップでのスタートはできるのかもしれない。





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