追熟読書会: いい人になる必要なんてない 【伊藤守】

いい人になる必要なんてない 【伊藤守】






著者の伊藤守さんは、日本人として初めて国際コーチ連盟(ICF)よりマスター認定を受けた日本のコーチングにおける草分け的存在です。

人と人との関係やコミュニケーションに対する深い洞察力をお持ちになっている方で、Discover社から数多くの本を出版されています。

今回は、1997年に初版発行、2020年に復刻した「きっと、うまくいくよ」からいくつかの言葉をピックアップしてレビューを書いていきます。





本書の構成は、4つの章にわかれています。

第1章《 心をラクにする方法 

まずは自分が何を本当に思っているのか、自分を知り、受け入れること。評価せずに自分の感情とお友達になること。


第2章《 気持ちをわかり合う方法 

コミュニケーションの具体的な方法に入っていきます。私たちはたった1人で生きているわけではありません。自分の気持ちを伝えること、相手の気持ちを受け取ること。安心感は人との関わりから生まれます。


第3章《 ありのままの自分と出会う方法 》

「いい人である必要なんかありません」という言葉から始まります。我慢しているわりに報われないなと思ったなら、自分を我慢から解放していきましょう。


第4章《 人生を楽しむ方法 》

問題があってもご機嫌に生きることはできます。問題が解決しなければ他のことは何もできないなんて考えているなら、問題を深刻なものだと思い込みすぎているのかもしれません。



本当にザックリと本書の構成を書いてきましたが、ここからはより具体的に印象に残った言葉を引用して書いていきます。

難しい言葉を一切使わず、優しい語り口で書かれていますが、ときにはその優しいことばが強く心に残る。そんな雰囲気の一冊です。

どんな本を読んでも、そんなことはもう知っている、当たり前のことしか書いていない、というような感想を持つ方もいらっしゃいます。でも、それを本当に自分のものにするのは非常に困難なことなのだと本書を読了後に私は実感しました。

あなたにとって、何か心に残る一文がありましたら嬉しく思います。



引用の文章にはページ数をつけています。💬 のマークの部分は感想です。



① P14 
少しの混乱、葛藤は必要な過程です。そして、一番いい解決方法はそれに対して、特に何もしないことです。何もしないでいられるのは、私たちの大切な能力なんです。

💬 混乱しているとき、とくに簡単に解決策の見つからない問題にぶち当たったときなどには、それでも何かしなければいけないという焦燥感でいっぱいになることがあります。自分がどう動いても解決できない問題なら「何もしない」ことに心を込めることです。そう思えるようになったのは結構な年齢になってからです。どうしてこんなにも動き回って一番の悪手に手を出し続けてきたのかと悔やまれることも多々あります。しかしこれも必要な失敗だったと思うことにしています。本書を読んでみたいと思ったキッカケは最初に出てくるこの一文に惹かれたからです。


②P22
思うことには力があります。それが、正しい、間違っているにかかわらず、あなたが自分に対して思うこと、世界に対して思うことが実現しています。だからこそ、自分が何を本当に思っているのか、その声を聞く責任があります。

 💬 責任という言葉に最初は違和感がありました。そこまで強く言うことなのだろうかと感じてしまったからです。しかし「自分の思っていることを聞き続けていると、自分の思っていることをコントロールできるようになる」という説明が続いていますので、感情的になって周囲を振りまわさないようにすることが「責任」なのだと納得しました。


③p30
ともすると、私たちは、自分の浮き沈みする感情の犠牲になりがちです。感情は理性よりもずっと力強いものだからです。だからこそ、感情を否定したり、分析するのではなく、それを味わいきってみることです・・・感情は長い時間持続しません・・・少しの時間、忍耐を持ってお友達になるんです。

💬 タイトルの絵に書いた一文です。「自分の感情とお友達になると自分の感情に脅えなくなり、それと同時に誰かの感情的な態度に脅えなくてよくなるでしょう」という説明が続いています。怒ってなんかいないと思い込もうとして結局ずっとそのことを考えてしまうことがあります。大切なのは、まず私は怒っていると受けとめることなんですね。その後の感情や行動を自分で選択していけばいいのですから。


④P46 
私たちの活力が低下したり、不安が増したりする原因は、孤立にあります・・・たとえ言葉が交わされていたとしても、つながっているという実感が薄くなれば、心の孤立が起こります。

💬  最近、バスで隣に座ったかたから話しかけられることが増えました。打ち合わせに向かうときなどは、頭の中を占めている諸々を手放してリラックスできるため話しかけられたら出来る限り世間話をするようにしています。先日などはバスを降りるときに「今日は朝から話ができて良かったわ」と感謝されました。たわいもない世間話でもしっかり聞いて受け答えすることの大切さをあらためて感じた瞬間でした。話し相手を求めている人は増えているような気がしますが、コミュニティは減ってきているようです。袖すり合うも他生の縁という言葉もありますので、小さな出会いを大切にしていきたいと思います。

 

⑤P85 
時が来たら、用意ができたら、心の準備に時間をかけすぎます。失敗はいやなものです。しかし、失敗することからしか学べないものがたくさんあります。自分から失敗する権利を放棄する必要なんてどこにもありません。

💬 段取り8割と言われることもありますが、私も準備しないではいられない人間です。あまりに早くから段取りをしたためにイベント直前になってからの変更に対応するのが大変だったこともあります。失敗したくないという思いよりも準備せずにはいられない性格、せっかちだからなどと自分では考えていましたが、、、やっぱり失敗したくないだけかもしれません。

 

⑥P94 
ポジティブだとか、努力だとか、前向きだとか、誰かに押し付けられるものではないでしょう・・・私たちは、自分のやってみたいことが見つかったら、いつでもポジティブになります。だからこそ、自分がやってみたいことをハッキリさせるんです。

💬 若い時にエネルギッシュに活動されていた方が、年齢を重ねてから無趣味になったという話を聞くことがあります。○○は好きでしたよね、よく○○をされていましたよね、と問いかけてみると、「別に好きでやっていたわけじゃない。付き合いでやっていただけ」という答えが返ってきます。 就活中の学生さんが一生懸命にガクチカなるものを生み出しているという現状もあります。読書好きプラスやりたいことだらけで時間の足りない私とは逆の世界ですが・・・多くの人にとってやりたいことが見つからないのは切実な問題なのかもしれません。

 

⑦P106 
誰にでも先入観や、偏見があります。人生の醍醐味とは、自分が知らない間に持ってしまった先入観や、偏見から自分を解放していくことにあります。自分なりの考え方、解釈、それはとても価値のあるものです。次は、それを外す能力をもつ番です。

💬 自分の経験というサングラスをはずして世界を見てみることの大切さが書かれています。真実だと思っていることも、いわゆる認知バイアスに過ぎないかもしれません。まだ20歳代のころのことですが、遅刻常習犯の友人がいました。あるとき30分待っても待ち合わせの喫茶店に来ないので自宅に電話したところ「これから家を出る。あなたが早く行きすぎなのだ」と言われました。別の友人は「必ず来るとわかっている人を待つのは苦にならない」とゆったりと構えていました。なぜそれができなかったかというと、私の父が時間に非常に厳格な人だったため自然と私もそうなっていたのです。今は友人の遅刻くらいでは怒らなくなりました。でも、やっぱり10分くらい前に待ち合わせ場所に行ってしまうことは多いです。 

 

⑧P136 
自分の存在する価値に気がつくちょっと手前で、葛藤は当然あります。一度自分の価値に確信を持ったと思った、その直後にさえも、自分の価値に対する疑いがあります。それも、全部ひっくるめて、今の自分は「そうだ」「そうしている」とyesをだすんです。
「 yes, yes, yes 」、それが自分と世界を受け入れる始まりになります。

💬 子どもたちが小さいころは、まさしくこの「ちょっと手前の葛藤」に苦しみました。子育てとはこういうものだと分かりかけたと思ったらすぐに自信を失い、またこれでいいのだと思ったらすぐに自信を失っていました。 子どもも成長し、私も親として成長して自然に様々なことを乗り越えてきましたが、悩みはじめると非常に苦しくてどうにかなってしまいそうでした。その当時の自分に「 yes, yes, yes 」と言ってあげたい気持ちです。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

勝手に8つの文章をピックアップしてきましたが、実際にはもっと多くの優しさに溢れた言葉が書かれています。

ぜひ手にとってみてください。

20代のときに本書を読んでいたらもう少し有意義な人生を過ごせていたかもしれないなどと考えてしまいがちですが、どちらにしても本を読む習慣がなければ、自分の人生はもっともっと苦しくて生きづらいものだったと思います。本との出会いに感謝💗です。






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