追熟読書会: 職場の「パワハラ」「モラハラ」の悩みを解決しあなたらしい人生を取り戻す方法

職場の「パワハラ」「モラハラ」の悩みを解決しあなたらしい人生を取り戻す方法


著者の原田彗資さんは、新卒で入社した会社で10年間、200名以上の部下のマネジメントを経験。その後転職するも上司からの罵声や人格否定などのパワハラ・モラハラでうつ病の状態に。現在はパワハラで悩んでいる人のためのコーチとして「未来創心塾」を主催。本書はご自身がパワハラに苦しんだ経験から書かれている。









(以下、私の感想の部分には◆をつけて表記、それ以外は本書からの抜粋となる)

 

◆長いタイトルのわりにはアッサリした内容でページ数も少なめ。最近は科学的根拠を延々と書き連ねる分厚い本が多い。しかしほとんどの科学的根拠は理解が難しく挫折本になりやすい。簡潔にまとめた本でなければ、パワハラに苦しむ状態で読むことができないのかもしれない。本書ではまず意外と知られていないパワハラの定義、続いてパワハラ上司の特徴と続く。とにかくパワハラって何なのか知っておくことは大事である◆

 

『パワハラってどんなもの⁉』

※本書は2019年の出版なのでパワハラについては法律による明確な定義はないと書かれている。現在では改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)が施行されている。しかし依然として企業に対する罰則規定は設けられていない。


『パワハラの6つの分類』

  • 厚生労働省の定義は次のとおり。

  身体的な攻撃

  精神的な攻撃

  人間関係からの切り離し

  過大な要求

  過小な要求

  個の侵害

  • さらに次の3つでパワハラに該当するか否か判断する。

    1. 職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性に基づいてなされる
    2. 業務の適正な範囲を超えている
    3. 精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為である

  •  職場の優位性は地位に限らず、人間関係や専門知識、経験など様々な要素が含まれる。業務の適正な範囲とは、危険な行為を叱責、指導することなどが含まれる。


『過労死』

  • 少々古いデーターではあるが自殺者の推移なども書かれている。30代後半から50代前半までの働き盛りが約半数を占める。そのうち9割は何かしらの精神的な病にかかっていったと思われる。適切な治療を受けていれば3割は減らせたとの見解がある。

◆過労の「労」は労働ではなく疲労の労であるという説明は説得力がある。働きやすい職場で、ただ忙しいだけであれば精神的に病むことはないと私も実際に感じているところである。業務の適正な範囲に関しては深く掘り下げてはいない。職種によっても違いがあり会社の歴史や形態によっても違うと思われるため、可能な範囲で著者の見解が書かれているとわかりやすいのではないかと感じた

 

『パワハラ上司の特徴』

  • 部下を徹底的に追い込む、部下をモノのように扱いながら自分だけはどんどん出世していく。業務遂行能力が高く部下の失敗を許さない。どうすれば解決できるのか徹底的に攻め続ける。会社側はパワハラを把握していても成績がトップクラスの社員だと処分が難しい。本人は叱責が善だと信じている。

 

『どのような心理でパワハラを行うのか』

  • 攻撃の仕方

  1.  相手を支配下に置くために中傷や悪口、悪意あるほのめかしを行う。
  2.  罵声、人格否定などの精神的な暴力を振るう。

  • 3つの感情

感情その1「自分が正しい、正義である」

感情その2「自分は特別な存在だ」

感情その3「他人から褒めてもらうことに執着する」

  •  すべては、この人は凄いと思わせるためのもの。自分は偉いと感じるために他者を貶める行為ということになる。

◆派遣で様々な会社を転々とした経験から言うと、パワハラ傾向の強い人は、自分も厳しく育てられたと言う人が多いように思う。パワハラ上司が一人だけの場合は、皆が知っていながら上手く関わっている状態なのではないだろうか。バランスを崩さない方がいいという考えもあるように思う。このケースではパワハラ上司について話し合える雰囲気があるので深刻にならないのかもしれない。問題なのは数人が示し合わせて行うパワハラで、自分たち組織の文化と言い切る場合。最近話題になっている中古車販売会社の件などを見ても怖さを感じる。

パワハラを受けやすい人、パワハラへの対処方法についても書かれている。社内の通報システムが機能していないことは、多くの人が感じとっていることだと思う。相談先がどこがいいのかは難しい。パワハラを受けやすい人は専門機関への相談などを考えたほうがいいようにも思うが、本書の内容から3点ほど面白かった内容をピックアップする。詳しくは本書を読んでいただきたい。

1.  「学習的無力感」マーティン・セリグマン博士の提唱したもの。何年も前に読んだ記憶がある。人は生まれつき諦め方を知っているわけではないという内容だったように記憶している。本書ではサーカスの象はなぜ逃げ出さないか、という例で書かれている。子ども時代の親との関係性は非常に重要だと再認識する内容だった。

2.  「命より大切な仕事などない」仕事に限らず失敗の多くは、だからって死ぬわけではないという程度のものである。しかし叱責が続くと、自分では大丈夫と思っていても命を落とす結果につながることもある。この認識が意外と持てないのだと本書を読むとわかる。これは驚いた点である。

3. 「 会社というのは誰かが欠けても回るようにできている」しかし母親、父親であることやあなたがあなた自身であることは、替えのきかないものである。この先長い時間において犠牲にしてはいけないものを忘れてはいけない。この言葉は実際にパワハラで苦しんだ著者ならではの言葉だと感じた。

本書はパワハラの被害にあわないための心構えや対処法が書かれているが、知らず知らずのうちに加害者にならないためにも、パワハラの知識は大切である◆

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