2023/06/01

【選択理論】だれでも簡単に使える選択理論心理学・上下巻セット

 



※A5サイズ/88ページ/カラー

監修:柿谷正期
著者:井上 千代
編者:藤田督子  
イラスト:ふじたかなこ







著者の井上千代先生は35年間、小・中学校の養護教諭として勤務されるなかで選択理論と出会い、選択理論を実践する「クオリティ・スクール」に感銘をうけて実践されました。

本書は、幼稚園児のあきちゃんとお母さんが優しくお話しをする10話からなる絵本です。とても柔らかな優しい雰囲気で選択理論を学ぶことができます。

内容を簡単にご紹介します。
お母さん、あきちゃんの会話を一部再現しながら、その後に解説、私の感想です。実際の絵本はお子さんが一人で読めるように「ひらがな」で書かれています。


上巻『親子で幸せ!になる魔法』

第1話 幸せってなあに?

あきちゃんはどんなときが楽しい?どんなときが嬉しい?

お友達と遊んでいるとき、お母さんに絵本を読んでもらっているとき

そんなとき笑顔になるよね。それを幸せっていうの

選択理論は幸せを育む心理学とも呼ばれています。選択理論を考えたグラッサー博士は「過去」に固執せず、「未来」に希望や夢を描き、「現在の生活」に焦点をあてるお手伝いをしました。

 

第2話 幸せの形はいろいろ

おかあさんはどんなとき幸せ?

みんなが笑顔でご飯を食べているとき、お花を育てるのも幸せ、本を読んでいるときも・・・

お母さんにはぼくと違う幸せがあるんだね

選択理論では「人、物、信条」などの頭の中に描いているイメージ写真を上質世界と呼びます。上質世界は人それぞれ違います。相手の上質世界にある願望についての話を聴くだけでも相手の幸せづくりのお手伝いになります。

 

第3話 幸せでいる責任

あきちゃんは幸せだと優しくなれるし、力が湧いてくるって言ってたよね。そんなときに意地悪したくなるかな?

絶対しない

だから幸せは責任なの

他人の幸せの邪魔をしないで、自分を幸せにしておくことは「責任」と選択理論では考えます。幸せになることは自分のためばかりでなく周りの人のためになります。

私はこの第3話を読んで衝撃を受けました。今までも数々の心理学の本を読んできて数々の衝撃を受けてきましたが、一番直近の衝撃がこのお話です。選択理論はわかりやすい心理学だと思います。それでもこういう形でタイトルから「幸せでいる責任」が出てくるとは思いませんでした。この柔らかな雰囲気の中で、決して押し付けがましくなく、しかしはっきりと主張する強さを感じたのです。子育て中のお母さんは家族のことを考えて自分のことは後回しにしてしまいます。でも自分が所有していないものを人に分け与えることはできないのです。大事なことを思い出しました。幸せは権利ではなく責任。とてもわかりやすい表現だと思います。

 

第4話 5つの幸せ どれが一番ほしい?

人はみんな生まれたときから5つの幸せがほしいって思っているんだって。あきちゃんの一番欲しい幸せはどれ?

わからないけど、ぼくがしたことでみんなが喜んでくれるとうれしいな

幸せになるには人が生まれつき持っている5つの幸せ(基本的欲求)を満たす必要があります。

5つの幸せ(基本的欲求)とは、愛・所属の欲求、力(承認)の欲求、自由の欲求、楽しみの欲求、生存の欲求です。

自分と自分の周りの人の欲求の強弱を知っておくと幸せになるための行動理解に役立ちます。


第5話 5つの幸せ つなげる魔法

実はね、幸せには魔法があって一つ手に入ると全部が手に入りやすくなる幸せがあるんだって。どれだと思う?

なんだろう?

仲良しでいることなんだって

大切な人との人間関係が良いと、人の脳はいい気分になり、思いやりを持ちやすく、やる気も出やすい」とグラッサー博士は発見しました。他の全ての欲求が満たされていきます。身近な人間関係が幸せのカギを握るとしたら…「私がいま言おうとしていることで二人の関係は近づくだろうか離れるだろうか?」という究極の質問を自分に問いかけてみましょう。


下巻『ケンカ・いじめが消える!魔法』

第6話 プラスの言葉は 幸せを呼ぶ


あきちゃんがお友達になりたい人はどんな言葉を使ってる?

あったか言葉、仲良し言葉、プラスの言葉だね

あきちゃんはプラスの言葉が使えるから大丈夫。お友達がたくさんできるよ。

プラスの言葉は良い人間関係を作り幸せを呼ぶ魔法です。あなたは周りの人にどんなプラスの言葉をかけていますか。


第7話 マイナスの出来事をプラスに変える

学校で嫌なことがあった。ゴンくんがサッカーの仲間に入れてくれなかった

そうだったの。悲しかったね。話してくれてありがとう。あした学校にいったらどうしたい?

楽しく遊びたいな。明日は他のお友達と遊ぼう

選択理論をひとことで言えば「他人と過去は変えられないが自分と未来は変えられる」です。お母さんが「どうしたい?」と聞いたことで「明日は他のお友達と遊ぶ」という自分でコントロールできる行為に気づいてプラスに変えることが出来ました。

実際にはこんなに上手くいかないかもしれませんが、この「どうしたい?」という言葉は、様々な場面で感情に支配されそうになるときに本来の目的に導いてくれますね。本当はどうしたいのか?と考えることは大事だなとつくづく思います。

第8話 幸せな人は やさしく強い

どうしてゴンくんは人が嫌がることをするのかな?

それはゴンくんが幸せじゃないからかも

ゴンくん寂しいのかな。時々声をかけてみようっと

相手は変えられる。自分は正しい。相手は間違っている。という考え方を基にした行動を外的コントロールと言います。外的コントロールを使わずにあなたはどんなことができますか?

この外的コントロールという言葉も衝撃でした。私達の周りは外的コントロールだらけといってもいい状況で、自分の自由を外的コントロールから守るために外的コントロールを使いそうになるくらい身近にある行為です。


第9話 プラスを見つけて口にする

ぼくがね妹のゆうちゃんに優しくしたら、ゆうちゃんも優しくしてくれたよ

どうしてゆうちゃんにプラスの言葉が言えるようになったの?

お母さんが毎日プラスの言葉を言ってくれるからだよ。

相手や物事のマイナス面に注目すると、自分の感情が不快になり、それを口にすれば人間関係は離れていくでしょう。相手が口にする言葉はコントロールできませんが、自分が口にする言葉は選ぶことができます。


第10話 プラスの言葉は 平和を築く

みんなが仲良しの魔法を知ったらマイナスの言葉を言わなくなるね。

本当だね。みんなが笑顔になるね。みんなが幸せになるね。

プラスの言葉を口にすることで素敵な人間関係を作り、幸せを育むことができます。、まずは自分の5つの欲求を充足しながら他の人の欲求充足のお手伝いもしたいものです。

それぞれのお話のあとに簡単な解説がありますが、それとは別に上下巻ともに巻末約20ページの大人向け解説もついています。

簡単に10話をご紹介してきましたが、字だけを読むのと絵を見ながら読むのとではまったく印象が違います。この絵本を見ているだけで幸せな気分になれます。私が特に印象に残ったのは第3話の「幸せは責任」と第7話から第8話にかけてのあきちゃんの学校でのエピソードです。ゴンくんは寂しいのかな。ゴンくんは学校もおうちもつまんないって言ってたな。意地悪する人は幸せじゃないってこと?あきちゃんの言葉は大人にも響きますよ。

私が参加した千代先生の選択理論実践セミナー(全6回コース2023年13月の3ケ月間)は絵本ではなく手帳をテキストとして使いました。手帳は「全行動」の車の図を使って非常にわかりやすい構成で楽しく学べるように工夫されていますが、お子さんがいらっしゃる方は絵本もいいのではないでしょうか。この絵本を使ったワークショップもあるようです。私も子育て中に出会いたかったなぁ、この絵本で学べるお母さんは幸せだなと感じました。もう自分の子育てには間に合わないけれど・・・ブログでこの絵本の紹介をしたいと千代先生にお話したところ快諾をいただきました。先生、ありがとうございます。

絵本の詳細はコチラから

 


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