声の出し方を本で学ぶというのも何かしっくりこない。ボイトレに通って先生の指導をうけたほうが絶対に上達するのは事実だ。しかし、日々、ほんの少しのことをするだけで声帯の老化が防げたり、プレゼンが上手くなったりするなら?
劇的に、というような即効性はないが実際に役に立った3冊をご紹介する。
まず1冊目は、
「話し方」に自信がもてる 1分間声トレ
秋竹 朋子
声帯は筋肉のようなもので45歳くらいから老化するとのこと。鍛えなければ細っていき声のハリ・ツヤがなくなる。普段あまり声を出さない人はどんどん声帯が衰えていく。
我が家は子どもが成人して独立したので今は夫と二人暮らし。外出しない日は声を出すことが本当に少なくなった。急に話そうとすると声が出なかったりする。
ということで前半は毎日少しずつ継続することで効果が出るタイプのもの、消防車サイレンを「う」から「あ」に置き換えて低い声から高い声まで出す発声練習など1分程度で出来る簡単な声トレが紹介されている。後半はスピーチ・プレゼン・電話対応のコツが書かれている。噛みやすい言葉の対処法など実用的なアドバイス多数あり。話をするというのは脳トレ・老化防止にもなる。
次に2冊目、
ポケット版 声の出し方・つくり方
谷川 須佐雄
きれいな声が出せるだけではなく一歩進んで場面によって声を使い分ける「戦略発声法」を紹介した本。
「声の大きい人、一本調子の人、語尾が強めの人」は丁寧な対応で言葉使いが正しくてもクレームに発展しやすいのは事実。そのために柔らかい声の出し方を練習する必要がある。カヴァード・ヴォイスと「グー・チョキ・パー」という考え方はちょっと面白い。これをマスターすると、とっさの判断で使い分けなければならないときにも迷わなくなる。
相手の声を聞き分ける技術や、声はどうやって出るのか、姿勢や骨格との関係など基礎知識も網羅している。
3冊目は、
白石 謙二
印象を決めるのは「話の内容」7%、残りの93%は声や表情だと言われている。声は技術で変わると語る白石さんだが何となく胡散臭い題名で不安に・・・ しかし読んでみると今まで数冊読んだボイトレ本の中で一番実用的な良書であった。のど声にならない方法、ポージング、フレージング、呼吸法などを簡潔に説明。
チェストヴォイス(低い声を出す胸声)
ミドルヴォイス(最も出しやすい中くらいの高さの声)
ヘッドヴォイス(頭に響かせるような高い声)
この3つの声を自在にあやつる技術が大事。ビジネス向けなので褒め言葉トレで仕事を広げる技も書かれている。
声や話し方は天性じゃない。いい声の人の共通点は素直に学ぼうとする姿。とすれば良い声の持ち主は努力家ということ。
以上3冊をご紹介してきたが、声の高さ大きさを使い分けたり、滑舌練習、発声練習など共通している内容も多い。
単語の頭をつかんで息を吐くことを意識すると噛みづらくなることも重要な情報だと思う。さらに大事なのは語尾を強くしないこと。これは意外と無意識にやっていることが多く、自分の話し方を録音して聞いてみると想像以上に語尾が目立つ。「〇〇でしょうか」の「か」の強さが違うと意味も大きく変わってくるので注意したい点である。
もう何年も前になるが、私は語尾の強さを悩んだことがある。クレーム対応をした際のこと。お客さまはご自分が勘違いしていたことを納得してくださったので一件落着と思いきや、最後に「あなたの声や話し方が嫌い」という痛烈な言葉を残していったのである。これは何とかしなければ・・・そこで毎日寝る前1時間ほどラジオを聞いたりして話し方の研究をした。その結果(何ヶ月もかかったが)最後の1音を言わないくらい極端にチカラを抜いたほうが良いことがわかった。それ以降仕事上のトラブルがほとんど起きなくなった。
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