2023/05/03

オプティミストはなぜ成功するか

マーティン・セリグマン著 

オプティミストとは楽観主義のことである。

悲観的な見方が正しい時はそれに耐えなければならないが人間には人生選択の余地もある。

手をつけられない領域もあれば自分でコントロール可能な領域もあるわけで、今まで漠然と考えていたことを実に科学的に研究・分析してまとめてある。


現代社会は行き過ぎた個人主義に陥っていて共通認識が衰退している。著者はこのままでは人生の意味を見出すのは難しくなるのではないかという不安を率直に語っている。これを乗り切るためには「いつでも帰ることのできる大きな家族(組織)の一員であること」 「楽観主義を身につけること」 この2点が重要になってくる。

しかし、楽観主義には欠点もある。




それは、現実を都合よく解釈し責任感が弱いことだ。楽観主義は賢さを補佐するものでそれだけでは余り意味をもたない。楽観的に考えて失敗したら大きな損失を被る場合は安易に楽観的になってはいけない。

反対に悲観主義は現実を正しく見ている場合が多い。専門的な技術者も悲観主義のほうが良い場合が多い。


しかし、不幸な出来事に遭遇した時には自分自身にどう説明するか、その説明スタイルで人生は大きく変わる。もうダメだ。何をやっても状況は変わらない。と思ってしまっては無力状態に陥ってしまう。

逆に説明スタイルを上手く楽観主義と結びつけて自分の悲観的な「つぶやき」に反論し元気づけていく、要するに場面ごとに使い分けることが重要になる。

もともと万能薬的な人生のコツなど存在しない。人生に近道なし、ということなのだろう。

この本は「楽観度テスト」とその活用法について詳しく説明している。

永続性、普遍性、個人度(内向的か外向的か)を診断する48の質問がある。

たとえば

友達があなたを傷つけるようなことをいう場合

A:あのひとはいつも他人のことを考えずに思いついたままをしゃべる。 

B:友達は虫の居所が悪くて、私に当たったのだ。

のどちらが良いかというとBのほうが一過性で楽観的である。


悪いことは一過性で状況が悪かったと考えたほうが良い。試合に負けたら相手が強かったのだと思うことも大切だ。良いことは永続的で自分の努力の成果と思っていて良いのだ。

日本人は上手く行った時は皆さんのお陰です、失敗したら全て自分が悪いと思うように教育されているが自分の努力を自分で正当に評価することは自尊心(自信)にも繋がってくる。


「楽観度テスト」をやってみた結果としては

思っていた以上に私は楽観的な要素が多かったが悲観的な部分と両極端でもある。

この楽観主義についてはあくまでも自分自身にどう説明するかの問題なので他人への説明スタイルに活用すると危険かもしれない。もっともここまで楽観主義になると他人に説明する必要がなくなる可能性が大きいが・・・


著者、マーティン・セリグマンは心理学を研究している大学教授なので非常に細かい研究結果も書かれている。

しかし私は第3章の「楽観度テスト」と第12章の「楽観的な人生を送るには」を読むだけでも十分に意味はあると思う。

とにかく内容が深いため(付箋だらけになってしまいました)全てを納得できたとは言いがたい。いますぐにでも出来ることとして、自分が悲観的な思い込みをしていると気づいたらすぐに気を逸らすことである。応急措置ではあるが「ストップ、このことは後で考えよう」と他のことに集中する。反射的に頭に浮かぶ考えに反論する。自分の信念は思い込みであり事実ではないと気づく。いわれのない非難から距離を置く。などである。

悲観主義も社会の中で役割を持っているのも事実。楽観主義は現実を都合よく解釈している面もある。大切なのは仕組みを知ったうえで時と場合によって楽観主義と悲観主義を使い分けることである(これが一番難しいかも・・・)


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