2023/05/14

齋藤孝先生の「偏愛」に関する本2冊

 「偏愛力」と、「偏愛マップ」をご紹介。

 

 まずは「偏愛力」から

人はどんなふうにしたら、他者ともっと強く深く結ばれるのだろうか。その答えが「偏愛」だと先生は冒頭から熱く語っている。偏愛とは偏って好きなもの。強烈に心をとらえるもの。偏愛こそ個性。個性とはその人の持っている世界。世界はその人の偏って愛しているものの集合体である。齋藤先生は「偏愛」を偏愛しているとのこと。この偏愛劇場が人間関係の醍醐味なのだと。今の時代は自分の考えや意見を口にしない傾向がある。これは嫌われたら怖いという考えがあるから。目立つたがらない。これは自分の中に突出したものを持ちたくないということである。ここからは偏愛はうまれてこない。



年長者とのコミュニケーションを避ける学生たちと何とかしてうまく関わる方法はないものかと齋藤先生は考え続けた。説教でもない、愚痴でもない、楽しいコミュニケーションの方法ってなんだろう。一生懸命考えて生み出したツールが「偏愛マップ」である。 

 

 次に「偏愛マップ」から。


マップとは一体どんなものなのかを説明すると、その名の通り偏って愛するものをA4の紙1枚に書き込んだマップのこと。自分が本当に好きなものは何か?自分にポジティブに問い直すものであり具体的にマップを書くためには、こういう作業がとても大切。これは自分の価値感を知るためにも大変役に立つとのこと。とにかくこのマップは他者との最高のコミュニケーションのツールであると齋藤先生は自賛している。

 



さて、マップを作るにあたって

【大事な点】は、ちょっと好きなものマップとは違うことである。こよなく愛する○○愛と言われるような偏愛でなければならない。

 

【書き方】は非常に簡単

綺麗に書こうとし過ぎないこと。読める程度に書きなぐるくらいのつもりで書いていくほうがいい。ただし「人に見せるもの」という前提は頭に入れておく必要がある。

・形式はは自由。自分のスタイルで書いていい。

バリエーションは様々。系統樹型、ダイアグラム型、パソコン型、ゾーン型など。ど真ん中に一番好きなものを書いて、周りに関連のものを並べていったり、並列にずらずらと書き出していったり、色をたくさん使ったり、絵を書いたりマインドマップ風だったり。それぞれの特徴が出ることも偏愛マップの醍醐味。

・コツはホントに好きなものを具体的にキーワード方式で書くこと。

例えば大好きなケーキ屋さんとか、長年通っている整骨院とかではなく、実際の店名「〇〇やさん」とか「△▽整骨院」などのように具体的に書くのがコツ。固有名詞を出すことが重要。趣味はと尋ねられて読書などと答えるのが一番良くない答え方。はっきり固有名詞をあげると、ああそういう作家さんがが好きなのか、ならちょっと聞いてみようという気になる。具体的であるということが相手へのサービスにもなるということ。

 

【使い方】は

・お互いにマップ交換をして会話をする。

初対面の人同士の会話では「職業は?おいくつですか?お住まいはどちら?」など後が続かない気まずい会話になりがちだが、この偏愛マップをぱっと出せば、その人の個性、その人の好きなものがすぐにわかる

・セミナーや授業、合コンなどでは2人ひと組になって、マップを互いに交換して見せ合いながらコミュニケーションを図っていく。2人ひと組の島をアトランダムに作って5分から10分ほどで組み替えをしシャッフルする。重要なことは2人ひと組で行うこと。

 

【メリット】は、

・共通する偏愛を持つもの同士は話が盛り上がる。どこか1点くらいは話したいと思うものが見つかるものである。

・初対面でも話のきっかけ探しに困らない。マップに書いてあることは遠慮なく質問できる。

・もし知らないことがあったり、自分が今まで興味を持っていなかったことが出てきたら、そのことを質問することができる。

・職場で合コンで結婚式や公の場で、様々なシーンで活用できる。。

 

【活用ルール】は2つある。

1つ目は、他人の偏愛しているものを「最悪」、「あなたの偏愛しているそれって私大嫌い」などと言ってしまわないこと。

2つ目は書き方にこだわらず、マップの中身に集中すること。とはいえ、やはり書き方が汚いと好感に繋がりにくいということはあるので、読みやすさは大切な要素。どんな話でもできそうというふうに見えるマップに人気が集まる傾向があるような・・・

 

ここまで簡単に偏愛マップの作り方と活用方法を紹介してきた。最近は偏愛マップを社内研修やコーチングやセミナーなどで活用することが増えているようでYouTubeで偏愛マップと検索すると、実際に活用している動画を見ることができる。

また、本書「偏愛マップ」の第2部では5名の著名人の偏愛マップを齋藤先生が作成して公開している。ジョン・レノンはナビスコが好き。向田邦子さんはパンの耳である(残り3寺山修司、岡本太郎、坂口安吾はここで語ることは難しいため省略)


結局のところ、クセの強い人はとても魅力的で、クセとクセで結ばれた関係は特別なものといえるのではないか。私の好きなものなんて誰も興味をもたないだろうと考えたこともあったが間違いだったと思う。

ぜひ皆さんも偏愛マップを使って、楽しいコミュニケーションを体感してみてほしい。

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