追熟読書会: 自分の小さな「箱」から脱出する方法

自分の小さな「箱」から脱出する方法

アービンジャーインスティチュート(著)

五郎丸選手がオススメしているということで話題になったこともある本。

「箱に入っている」とは簡単に言うと自己欺瞞=他人にも同じように感性があることを忘れて起きる悲しいすれ違い。

たとえば、自分ほど努力してきた人間はいないと考えてしまう。自分より無能な人間と無理に付き合っていると感じる。自分がすべきことをしない理由を探す。自分を正当化するために相手を責める。などなど心当たりのある内容が多くて悲しくなる。

               


でも大丈夫。

本書は主人公が転職して新しい会社で研修を受けるうちに自分の考えが間違っていたことに気付いていく物語形式になっている。研修で学んだ通り部下に謝って関係改善したその日、良い気分で妻に電話するが険悪な雰囲気に…簡単に箱の中に投げ戻された。そこから肝心要の後半の講義に入っていくので内容を受けとめやすくなっている。





啓発書の類をすでにたくさん読んでいると、特別に凄い内容とは思わないかもしれない。実際、箱から出ることは意外と簡単だった。どうやったら箱から出られるのだろうと思ったときには箱からでていたという感じだ。これは相手に逆らうのをやめた瞬間であり、相手を人間として見ていればこそ外に出たいという感情を抱いたからである。

ところが、ところがである。箱から出ることは簡単でもいつでも誰に対しても箱の外に居続けることは大変難しい。相手によっては箱から出ていられるが、この人とは敵対してしまうという問題である。

さらに恐ろしいことに箱の中ですることは、たとえ良いことであったとしても、それは箱の中で考えることであり問題が増えるばかり。箱に入っている時間が長いと(自己欺瞞が続くと)それが自分の性格だと思うようになる。自分で作り出した自己正当化イメージを通して全てを見るようになるのである。

これがお互いに箱を持ち歩くという構図になるとさらに怖い。

責められる→すぐ箱に入る→相手を責める→相手も箱に入るように仕向ける→相手は私を責める→お互いに不当に責められたと思う。

他者も箱にいれてしまう、箱を持ち歩くなどの表現はもちろん比喩であるが、最後にもう一つ付け加えると、結局は誰もが箱に入っているじゃないかと変な安心感をもったり、あの人は箱に入っているな意地悪く観察してしまうことだってある。

全体通しての印象はイメージしやすく、ストーリー仕立てになっているので読みやすいということだろう。

余談ではあるが囚われるという字は人がハコに入っている。日本語は素晴らしいと再認識。


アービンジャーから4冊出ている関連本の中で緑本=この本【自分の小さな「箱」から脱出する方法】は基本編。

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